バイオダイナミックス・パラノイア(教・経・狂)

ってだれのこと?

 

確かに、現実はそのことからかけ離れすぎているかもしれない。

しかし、彼の言う『四つの要素』がすべての真実なのか、

彼を信奉する者だけの「あれ」なのか、よく聴いてみようじゃないか。!!

ちょっとやそっとじゃない、言葉の反復や独特な言い回しにへこたれず、言わんとすることに集中してみよう

 

ニコラ・ジョリー氏の講演

アペラシオン(原産地呼称)の説明からします。これは機械的に作られたものではありません。各地域に生きている微生物が、とても大切です。たとえば皆さんが病気になった時、熱が出て皆さんの個性を出そうとしても難しい。とても元気なときには、皆さんの個性なり能力を100%出せるでしょう。ワインも同じで、その場所が生きています。それが表現につながります。

私が行なっているバイオダイナミックス農法とアペラシオンのつながりを説明しながら、バイオダイナミックス農法を説明します。

「重力」と「浮力」

地球には重力があります。重力がなければ地球に物の生存はありませんでした。今日このように話していることもないでしょう。たとえば地上300kmの宇宙との境で重力はなくなり、、より上へ行けば太陽の世界です。地球上のすべてのものは、二つの大きな力によって構成されています。一つは「重力」、二つ目は太陽による上に向かう「浮力」で、この二つがとても重要な役割を演じています。これをさらに詳しく分析すると、「四つの要素」があります。

 「四つの要素」

〔1〕一番下にミネラル(鉱物)と石。石は非常に硬く、ひとつひとつに分かれています。生きていないので死を表します。

(2)地上には液体、水があります。水には形はありませんが、いつでも一つになります。ということは、地球の法則(重力)よりやや上にあります。人間を含めた地球上のすべての生物(植物、動物)は、水から成っています。例えば、妊婦のお腹の中の子供は水(羊水)に保護されています。いずれも非常に大切です。水は重力から外れ、そこから守ってくれて重力を感じなくなります。

(3)光と空気があります。地上には空気、それも層に分かれています。

(4)熱があります。熱はどんどん上に行きます(浮力)。好物は温めても上には行きません。これらを大きく分けると、浮力は「生」を表し、「重力」は「死を」表します。

「四つの要素」とアペラシオン

この四つの構成要素がぶどうの樹に与える役割を考えると、重力はどんどん下に伸びます。水分、液体はぶどうの木(植物)の葉に大きな力を与えます。光は花、葉に影響を与えます。美しい花の形を作るのは光です。熱の力は、花を実(果実)に導きます。この「四つの要素」が各植物に与える影響に、アペラシオンが大きく関係します。地球上のすべての地域に同じ物は生存せず、土壌のみならずこの四つ(熱、光、水分、鉱物)すべて、動物、植物も含めて違います。兄弟であれみなの顔が異なるように。それと同様に地球のすべての場所が違い、「四つの要素」がすべて違う条件の中に存在します。これこそが正にアペラシオンなのです。

例えば、山に行くと太陽が近いのでとても光の影響を受けます。山で取れる蜂蜜はより濃厚な色をし、花の色も平野部の花よりも濃い色をしています.山岳地方の牛は草植物を食べ、牛乳は他のものとは全く違い、それからチーズを造ればアペラシオン・コントローレのチーズとなります。水があればまた違った影響を与えます。それぞれのアペラシオンには、その場所その場所ごとに本当に特徴のあるぶどうが育ち、それは上記の「四つの要素」が大きく影響するからです。

今までよく土地(土壌)だけを調べて、アペラシオンの特徴が出ていると勉強してきましたが、土壌だけでなく、地上の分野のすべてが関わってきます。

実際に一本の草木を似てみます。一番下の葉は地上に近いこともあり水の影響を受け、葉型もとても単純で、繊細な形はしていません。水は重いので少し下に垂れた形になります。上にいくに従い浮力が働き、「四つの要素」の中の光、熱が影響を与えます。光が葉の形を作り、下から二番目以上の葉が少しずつ形づくられ、上にいけばいくほど光の影響を受けてさらに形が細かくなります。一番上に花があり、すぐ下の葉はより複雑になり花に近い形をしています。

このようなことは、18世紀にドイツでは細かく説明されています。このように一本の植物にも、光、熱、水、鉱物が影響を及ぼします。

それぞれ各地を訪れたとき、その地方が受けている影響を見るには、その地方の木を見ればよいのです。イタリアや南仏に行くと、糸杉があり、この木はとても太陽の影響を受けて、上に向かってまっすぐに伸びています。松、全体的に横に枝が伸びています。重力と影響をうまく受けています。柳と糸杉とは全く逆で、重力の影響を受けて下に向かっています。ぶどうの木は、くねくね曲がっています。上に伸びようとするが、重力の影響を受け曲がります。春芽が出て枝が上に伸びようとするが、重力によって下に曲げられ、、それを結びつけ固定します。ぶどうの木は、とても重力の影響を受けやすい。根は重力によってどんどん下に伸び、ときには、岩をも突き抜けて下に伸びます。

夏至に花が咲くぶどう

また、逆に太陽の影響も受ける植物です。夏至に花が咲きます。一番日が長く、太陽が最も強いときです。ぶどう以外の実を結ぶ植物は、ほとんど春に花が咲きます。これはまさにワインの真実を計るときに、大切なポイントです。

アメリカに行き、いつ花が咲きますかと聞くと、5月末に咲きますと聞けば、多分バランスの取れたワインはできないと予測できます。太陽が十分に強くない時期に花が咲くからです。それによって自分自身(ぶどうの木)が、どうしてでも生命をかけて早く活動を始めようとして、短時間で無理な結実となります。試飲したとき、色のとても濃い、口に含むと力強いが、しばらくするとさっと強さが消えてしまうワインがあります。ぶどうというのは、夏至の時期に花が咲くようなところでないと、本当にバランスの良い、息の長い、味の持続するワインはできません。もし、ダイナミックス農法とはいえど、ぶどう栽培に適した地域でないなら、どんなにうまく行なわれたとしても、美味しいワインはできません。14,15世紀のアジアにおいてもヨーロッパにおいても、農家の人はこのことは知っていました。

ここに四つのぶどうの葉(いずれもシュナン・ブラン種)があります。(1)ほとんど切れ込みがありません。(2)少し切れ込みが出てきます。(3)かなり切れ込みの形がはっきりしています。熱や光の影響を受けこの形が形成されたものです。(4)三角形に似た葉先、これは充分に光を受けている証です。このことをみてバイオダイナミックス農法では何をするかがわかると思います。

バイオダイナミックスとは

それではバイオダイナミックスとはなにか?

ワインの中で味わいの深さとか、香りのよさなどは何から生まれるかというと、熱と光からです。もちろん、土壌、水分も必要dすが、それほど強くはぶどうには必要ではない。むしろ、キャベツなどの野菜を植えればよい。もし、土壌と水の力が豊富な地域であれば、ぶどうの木は非常に伸びて、葉が豊富になるが良いぶどうにはならない。すなわち四つの力のあってこそよいワインを造ることができるのです。

もし、地球上の空間にプラスティックのようなものがあり、光、熱を遮断したときには、地球上の生物は皆ほとんど死んでしまいます。公害がその例です。窒素酸化物などの公害、炭酸ガス、そして電波も地上には影響を与え、邪魔者の一つです。これらがまさに地球と太陽のよい関係を崩してしまいます。このバランスを崩すものがあまりにも多い。

バイオロジー(無農薬栽培)は、しぜんの力を使うという意味かもしれません。ただし、自然がすべて正しいかというと、そうでもありません。バイオダイナミックス農法は、一つのものを畑にばら撒くとしたら、例えば10gのものを水にといて1ヘクタールに撒きます。撒いたのか撒かなかったのかわからないほどです。微量であり、とても役立つ量とは思えないほどです。それはオリオンパテで、ちょうどヨーロッパで漢方ににた小さな薬ががありますが、それに似ています。

話を元に戻し、光と熱、水と鉱物は全く違った法則に沿っています。例えば携帯電話でパリに電話することは可能ですが、その間には物体のつながりは何もない。それではこの目に見えない力は何でしょう。両親の愛を数字に表せるかというとできません。すなわち、目に見えない力が存在するということです。太陽と地球の関係((力)は、計り知れない、目に見えない力といったものが存在する。この見えない力こそバイオダイナミックスなのです。

昨日は、鎌倉に行ってきました。鎌倉八幡宮の階段の横に1000年経った木がありました。その木の種子がここにあるとすれば、子の小さなものが1000年経てばあのように大きくなるわけです。それには、何の力が働くのでしょうか。小さなものをここまで大きくする力は、どこからどういうふうに出てくるのでしょうか。

山で見る雪の結晶は100種類あるそうです。どこからこの素晴らしい結晶が生まれるのでしょうか。それには非常に強い山の光があり、結晶を作ります。「四つの要素」、太陽と地球の影響です。

バイオダイナミックスには光がとても重要です。その影響と合体術がわかれば、農業はほぼ無料で何でもよいものができます。薬に使うミロスティという植物があります。重力に逆らって根が下に伸びず、横に伸びる珍しい植物です。花もなく光、熱の影響を受けていません。葉にすべてを集中しています。3年前に、あるぶどう栽培者がこの植物をごく少量、ぶどう畑に撒いてみました。三ヶ月の収穫で、1.5度高いアルコールのワインとなりました。それは95年ですが、とても乾いた年で、樹液がよく回らなかった年です。これを撒くことで、樹液の回りをよくしました。それではと、96年にもその栽培者はより多く撒いたのですが、その結果はすべてよくありませんでした。96年は乾いた年ではなかったからです。「四つの要素」があり、その年の天候状態によって、何をその「四つの要素」の中から引き出してバランスをとるかであり、毎年同じではありません。

ワイン造りの歴史の中で、50年代からどんな間違いを犯してきたかを少し述べます。

除草剤と化学肥料

1950年に除草剤が発明されました。土壌の中の微生物が土壌の力を表現するのですが、除草剤の発明により、5年10年でほとんどの微生物が死んでしまいました。土壌が死んで土壌の力をぶどうの木に与えることができなくなり、充分に発育しない。そこで化学肥料を与えなければならなくなりました。

化学肥料とは塩です。例えば、スプーン一杯の塩を食べるとのどが渇き、身体のバランスが崩れ、バランスを戻すために水をどんどん飲みます。同じようにぶどうの木に化学肥料を与えると、水をどんどん吸い上げバランスを崩します。例えば化学肥料をたくさん与えたキャベツを煮ると水分が多いため、煮ている間に溶けて小さくなってしまいます。すなわち、除草剤で土壌中の微生物が死に土壌の特徴が失われ、その上に化学肥料を与えた乾いた土壌は水分をどんどん吸い上げ「四つの要素」のバランスが崩れ、アペラシオン・コントローレの土壌の特徴、オリジナリティを失ってしまいます。バランスが崩れ、味が表現されなくなり、健康ではなく病気の状態です。これを続けるとさらに病気が発生し、さらに新しい化学肥料が要求されるようになります。昔はただ葉の上にだけ薬を撒いていたが、それでも利かなくなり、最近では樹液にまで入り込む薬が開発されています。人間であれば抗生物質的なものですが、それを撒くことで、ますます「四つの要素」が表現されず、土壌のオリジナリティのないぶどうが育ってきました。

よいぶどうができなくなってきました。味もなくなりました。そこで醸造技術に新しいI技術がどんどん開発され、味はテクニック・ワインの味となってしまいました。

本来アペラシオンを作ったときには、「四つの要素」がうまく調和され、その土壌のオリジナリティが表現されていましたが、今は失われている状態です。今はどこへ行っても同じワインができます。作られたワインとなっています。

もし、原点に戻ってアペラシオンの土地を表現したいとするなら、その土地の微生物を活性化させなければなりません。熱、光がぶどうに集約されていなければなりません。冬にフランスのぶどう畑を訪ねても、ぶどうの木は葉もなく何もないが、夏、秋に行けば葉は青々とし房も美しい。美しい葉や房はどこから生まれるのでしょう。何の力を受けてできるのでしょう。それは85%光合成からできています。光合成とは熱と光を受けてひとつの物質に変えることです。これは無料です。これらを考え、きっちりとぶどう栽培を行なえば、ぶどうは腐ることはありません。たとえ気候が悪くなっても、そのようなことはありません。腐るようなことがあれば、それは栽培方法がしっかりしていなかったのです。

ワインを造るのは人間ではなく光合成

わたしは、Wine Makerという言葉は嫌いです。まったく反対の存在です。私がワインを造るのではなく、造るのは光合成です。よいぶどうができれば、醸造所で何もしなくてもアルコール醗酵も何もかもうまくいき、自然に色も香りも味わいも出ます。一般にワインメーカーといわれる方は、色とか香りを出すために醸造中に「取り上げる」作業を行い、色、香りを出す技術で取り上げているのです。自然に栽培したぶどうからは、自然にぶどう自体がよい香り、色、味を出してくれ、技術は必要ないのです。

普通、白ワイン造りの中でデブルバージュ(醗酵前の清澄)という作業がありますが、私は一切行ないません。下に淀んだものはよくない、匂いも悪いというが、私のワインは決して悪い匂いもしないので、取り去ることはしません。普通の人が取り去るものの中に、たくさんよいものが含まれていまして、酵母菌もあります。この酵母菌を取り去るから、買い足さなければならなくなります。酵母菌には300種類ぐらいあり、皆さんが欲しい香り、味わいなどをつくります。A.はこの香り、Bはこの香りというように。それは自然の熱、光から出た自然な香りではなく酵母菌がつくったものです。その土地のオリジナリティではありません。フランボワーズとかカシスとかいう前に、これが本当にその土地から出てきたものなのか、作られたものなのかを考えてください。皆さんは本当のオリジナリティが欲しいわけです。

私たちはコラージュ(醗酵後の清澄)もしません。醗酵時の温度調節もしません。醗酵温度は熱であり、たとえば子供が病気になったとき熱が出ます。それは病気によって身体のバランスが崩れ、それを元に戻そうとするから熱が出るわけです。温度が一定であるということはありません。わたしの醸造においては、一切何もしません。ということは、よいぶどうを作れば、そのような温度調節をしなくても自然に任せれば、よいワインができるということです。

テクニックを使ったワインの見分け方

どうしたらテクニックを使ったワインと見分けることができるでしょう。ワインの世界には二つの市場があります。ひとつの市場にはただ単に飲んで美味しいもの。もうひとつの市場は、味わいが本当の自然の調和から出たものを求めるものです。このようなオリジナリティあるワインを売る市場は、今どんどん伸びています.

"Gout de Terroir"と呼ばれるものです。もし、この自然の四つの力のバランスを考えた栽培を行なわなければ病気がどんどん発展し、その病気を治すためにさらに強いものが撒かれます。現状はとても危険な段階に来ています。

テクニックワインときっちりとしたワインの見分け方としては、一本を開けてそれを毎日少しずつ飲んでみてください。酸化がどんどん進みます。普通は酸化すると飲めなくなります。わたしにとって酸化することは、単にワインが呼吸することであり、悪いことではなく死ぬことではありません。呼吸することによって、ワインはどんどん馴染みます。自然の熱や光でできたワインなら、4日、5日の間はよくなります。8日間少しずつ飲んで試してみてください。その時冷蔵庫に入れないで、テーブルの上に置いておき、8日目に僅かに残ったワインを味わってみてください。冷蔵庫は電気を利用しているので、電気の公害が発生しています。最低50〜60ヘルツの電磁波が出ています。電気は生の法則とは全く反対のもので、生を殺してしまいます。酵母菌を殺すことにも使われています。保管する場所が電気の公害を受けるなら、どんどん寿命が縮まります。

開栓した日はとてもよいワインでも翌日にはすっかり質が落ちるワインがあり、これはテクニックワインといえるでしょう。あるいはあまり良い栽培方法をしなかったものでしょう。

よいぶどう栽培者

ぶどう栽培者は、自分が住んでいる場所をよく理解することが大切です。風が吹いたとするならどこからきているのか。風で雨を吹き込むのか。西風であるなら光を呼び乾きますし、熱を運んでくる南風もあります。横に川があれば、川に反射した熱をもたらしてくれるなど、いろいろなことを理解していなければなりません。そばに大きな木があれば、いろいろな虫がいて、根の地下にはいろいろな微生物がいます。田舎にはいろいろな動物がいて、その動物がいろいろなものをもたらします。虫には水がとても大切で、豚は根に近い動物であり、馬は熱に、牛は水に影響を受ける動物です。

ぶどう畑は、その周囲の植物にしろ動物にしろすべてから影響を受けるということを言いたいのです。ミネラルが足りない時や根が弱れば、豚や牛の糞を使った肥料を使います。このように自分の場所を理解することが大切です。競れが本当によいぶどう栽培者といえます。昔の農家の人たちは、何世紀にも渡ってそのように行なってきました。自然をよく理解すればそれほどお金を使わなくてもまた無料で自然の恵みを受けてよいワインができます。

アペラシオンというのは単に土壌だけでなく「四つの要素」がとても大切であるということです。これらがすべてバランスよく構成しているわけです。バイオダイナミックスで畑に撒くものがいろいろあります。たとえば、水晶の粉100gを水に溶かし1haに撒くという極微量ですが、熱と光を十分助けます。どこの土地でもよいかというとそうではなく、北と南で違うので、南では熱が強いのでいけません。

もうひとつの天体のことがとても大切です。今日話したことの、人間、地球の存在の前に宇宙があります。満潮・月の影響からです。人間も大変影響を受けています。同様に植物も影響を受けています。昔の農家の人たちは、その辺のことを十分に理解していました。宇宙では月だけでなくあらゆる惑星から影響を受けているのです。

 

収量制限

20〜25hl/haです。バイオダイナミックスでも30〜50hl/haを収穫してもよいと考えます。バイオダイナミックスがすべてよいワインを造るわけではありません。どんどんよくない方向にいく場合もあります。その場所がぶどうにあっていなかった場合です。土壌に合っていることは大切な条件で、あとは人間が手助けするだけです。今、フランスのぶどう畑では、ほとんどクローンを作っていますが、わたしは批判的です。一番よいぶどうの木を選び同じ物を作ったとしても、必ずしもよい結果をもたらしません。いろいろな木があってこそよいものができるのです。最初の剪定の段階で芽を取りますが、青刈りはしません。青刈りをするのはクローンを使っている証拠です。

 

バイオダイナミックスを取り入れている生産者

今フランスでは40社ほど取り入れています。一部だけなら65社くらい。ルロワ、ヴィレーヌ、シャプティエ、ダイス、ズィント・ウンブレヒトなどの造り手です。ボルドーはとても遅れています。ボルドーの大きなシャトーは、ほとんど株式で成り立っているので、栽培責任者がこうと決めても、スムーズに変えられません。株主は前と同じ収入が欲しくて2,3年我慢するということができません。経営の裏には株主がいるのです。

 

バイオダイナミックス農法と反対のもの

除草剤を撒いたり、化学肥料を使ったり、病気に対する化学物質の使用などがそれにあたります。

 

無農薬栽培ぶどう使用、無添加ワイン

フランスのブルゴーニュの生産者「ドメーヌ=ルフレーヴ」のように収穫から醸造まで徹底した衛生管理をして極力酸化防止剤の使用を抑える努力をしているところもあることをお忘れなく。当然、畑でのぶどう樹の管理も「ビオディナミ」であります。また、ヴェルジェブランドで有名なギュファンス・エナン氏のようにガスとして吸引すると咳き込んでしまう体質によってセラーに入れないという理由でも極力使用しないという生産者もいます。

 

オーガニック・ワイン(カリフォルニアの基準)

オーガニック・ワインとはCOFA(California Organic Farming Agreement)という基準に基づいて栽培をし、CCOF(California Certified Organic Farmers)といった団体の認定を受けたぶどうを原料に生産されたもので、亜硫酸ガスの含有量が10ppm以下であるワインを指します。しかし、オーガニック・ワインの規則、定義は今のところ確立されていません。連邦政府は規則を制定するとはいっているものの合意するまでは至っていないからです。いろんな問題点がありますが、大きなポイントはワインの亜硫酸ガスの含有量をいくらに定めるかにあります。瓶詰めの時点で最小限度の亜硫酸ガスを入れなければ、ワインの質が不安定になり、瓶によって当たり外れが出ることを危惧するワイナリーが多数です。

[made from organically grown graps]とラベルに表示されたワインは、これはCOFAの基準に基づいて農作業を行い、COFAが認定をすると、晴れて「有機農法によって栽培したぶどうから造りました」ということになるのです。この認定を受けるにはまず土の手入れからはじまるので3年はかかります。栽培には除草剤、殺虫剤、化学薬品は一切使用せず、硫黄を使うことだけが許されています。栄養分のある土を作るためにクローバーなどの下草を植え、海草の粉末などを撒き、益虫を誘う下草、植物を植えています。認定された後もCCOFが毎年やってきて土、ぶどう樹を検査します。

「Sustainable Farming」や「Responsible Farming」と表示されている場合はCOFAの基準に厳格に沿った栽培はしていません。「必要なときには化学薬品を使うこともあります。しかし自然保護を考慮した良心的な農作業をしています」というメッセージと受け止めたらいいかと思います。

 ドイツでの取り組み

ドイツでは、ブドウの収穫量の制限、農薬を極力排した有機農法、EC統合に伴うヨーロッパ対策の検討の3点がされているという。そしてこれらを提唱、推進しているのが、全ドイツ銘醸ワイン生産者連盟(V.D.P.)である。1910年に結成されたV.D.P.は約170者が加盟、ドイツの全ブドウ栽培面積のうちの約3%がドイツ各地のメンバーの所有である。品質を重視したこの連盟への加盟には、ブドウ畑の立地条件、収穫量制限、ブドウの品種や糖度に加え、殺虫剤、除草剤の使用禁止など、ドイツワイン法より厳しい基準を設けた、メンバー相互の試験が課せられる。また、V.D.P.内には防黴剤の使用も禁じた100%有機農法の組合もあり、これを実行するには・「主に人件費による10%のコストアップと10〜20%の収量低下」を覚悟しなければならない。森林の酸性雨の影響の深刻なドイツでもあり、「長期的に見れば、自然にやさしいということは、必ずそれなりの見返りがある。経済と環境の両立こそが文化である。」(現VDP総裁、M.ザルム・ザルム公爵)

このようなV.D.P.の基準に適した加盟者のワインには、キャプスル・シールにブドウと鷲をデザインしたV.D.P.ロゴマークが使用されている。

 

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