ワイングラスを選ぶ 

 見た目だけでないグラスの機能 

設計 ワイン・ぶどうの種類&グラス

ワイングラスの条件

理想的なワイングラスの条件を挙げますと

1.無色透明であること

2.カットが入らないこと

3.卵形をしていること・・・・ブーケ(ワインと空気が触れてできた香り)をためる為に有効

4.脚の部分が長くできていること・・掴み易くて、温度を変えない

5.飲み口の部分が良く研磨されていてストレートであること・・ワインが口にストレートにスムーズに流れるように

6.クリスタルでできていること・・表面がざらざらして表面積が大きい。香り同様、赤ワインのタンニンが付着しやすいので、口の中では柔らかくなる。アルコールを飛ばしやすい。

 

ピノ・ノワールと酸

ブルゴーニュ・グラスは容量が大きく、なみなみと注ぐと600ml以上入ってしまいますが、1/5から1/4ぐらい(ボルドーグラスでは1/4から1/3)で試すのがよいかと思います。大きいグラスの役割は、60%香りのためにあります。いかに香りを引き出すかです。ポマールですが、若く、ポテンシャルのあるワインで、果実味が先に立ち、肉、動物の香りもあり、濃い色のベリー系フルーツの香りがします。ピノ・ノワール種は、酸味は豊か、タンニンは少なく、完熟しにくいぶどうですが、生産地によって異なります。たとえば、カリフォルニアのソノマなら動物臭の野性味を帯びた香りがします。フレンチオークを使うかアメリカンオークを使うかによっても違います。アメリカンオークの場合は目減りは早くそれだけ酸化が進むことや土壌の違いなどからもきています。

このブルゴーニュ・グラスは、熟成香が出て、複雑味を感じられるブルゴーニュ・ピノ・ノワールに大変適したものとして作られています。香りを溜めて、香りの分子を揮発させる面がとても大きい。また酸味を和らげる理由ですが、ワインを飲む時、舌のどの部分に流れ落ちるかを確認すると、舌の先端に流れ落ちます。リースリング・グラスのような反り返りの部分がないのですが、これだけ丸みを帯びていると、頭を少しそるようにして飲むので、ワインは舌の先端の部分に流れ落ちます。グラスの下の膨らみに比べ、口の部分が比較的狭いので溜まった香りを鼻腔で嗅ぎながら飲み味わうことができます。

このポマールをシャルドネ用グラスで試した場合、香りの集中度はブルゴーニュ・グラスとは比較できないほど少ない。すぐ香りを感じとろうとする時は嗅ぎやすくよいが、香りは早めに飛んでしまいます。味をみると、ワインの流れ落ちるところが、ブルゴーニュ・グラスに比べ1cmほど奥のほうになってしまうので、ピノ・ノワールの酸味が強調されすぎてしまいます。その点ブルゴーニュ・グラスでは、舌の先端に流れ落ち、酸味をあまり助長せずに果実味、糖度を感じる部分に落ちます。その上、香りがとても豊かに感じられることもあり、ポマールの最もよいところを強調して、酸味を隠してくれるグラスです。

あなたがお客様をおもてなしする立場のとき、お客様への心使いとは・・・単にグラスが「セパージュ任せでない」ヒントがあります

グラスは、ワインがもっている力以上のものは引き出すことはできませんが、ワインの造り手が伝えたいと思うメッセージを100%消費者の方々に伝えることが、リーデル社の使命と考えています。もちろん、グラスの形状を選ぶには、ワインそのものの内容によって変わってきます。ワインも年々変化しているものもあり、ブルゴーニュ・ワインなら必ずしもブルゴーニュ・グラスとは限らずワインのワインの特徴を活かせるグラスを選ぶことです。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンとタンニン

もう1つの赤ワインは、カリフォルニアのナパのカベルネ・ソーヴィニヨンです。カベルネソ・ソーヴィニヨンの特徴をよく出しているワインです。ボルドー・グラスの場合は、飲み口が大きく・舌の先端部分ではなく中央の広くなった部分に流れ落ち、舌の両側、舌の裏を流れ、のど元に流れます。ピノ・ノワールの場合は、舌の表面を通ってのど元に流れました。 なぜ、カベルネ・ソーヴィニヨンのグラスですと、舌の先端やそこからのど元に流れないようにできているのでしょうか。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、ピノ・ノワールにくらべて酸味が少ない。しかし、長熟のワインで酸の少ない分タンニンが多く、渋み、苦味の要素が前面に出てくるワインです。熟成してタンニンがこなれていろいろな香りが出てくれば、このボルドー・グラスではないほうがよいと思います。若く荒削りで、力のあるタンニン豊かなワインは、舌の先に流れ落ちた場合、のど元に入っていくあいだに渋み、苦味の感じる部分にすぐ到達してしまいます。それより、ほどよい酸味のカベルネ・ソーヴィニヨンにもう少し酸味を加え、苦味を感じる部分を避けて通ったほうが全体のバランスが取れるでしょう。

特にニューワールドのワインは、とても糖度の上がった時点で収穫されますので、ボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンとは違った味わいです。タンニンがとても豊かで、同時に果実味も豊かです。ボルドーで天候の恵まれない年に、茎のような、野菜の香りとなるのとは違い、これだけ糖度が高いと邪魔になります。たとえば、ブルゴーニュ・グラスで飲むと甘ったるくなります。また、タンニンの収斂性を感じやすくなります。このボルドー・グラスは、そのようなところを避けてのど元に流れるようにと考えられています。これだけ表面積が大きいので、スワリングいていく間に、粘性のあるワインのタンニンはクリスタルグラスの表面に付着し、まろやかになります。若いワインをデカンティングして飲むのと同じです。

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